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「アストルティア・ヘブンズワールドカンパニー・・・・・・」
「あれ?アテンさんご存知で?」
「ええ、知ってます。いま、やつらを追っているんですよ。」
「え、追ってる?何でですか?」
「とある少女がやつらにさらわれているんです。助けるためにやつらを探す旅をハネツキ博士たちと一緒にしているんです。」
「は、ハネツキ博士と旅を?うらやましい~。」
何でそこだけ過剰に反応するんだろうか?
「・・・じゃなくて、誘拐されているんですか?もしかして、アテンさんの娘さん?」
それラグアス国王にもいわれた・・・って、あれは一緒にいたから誤解されたわけであって、話を聞いただけでその発想に行くとは思わなかった。
「え?違うんですか。・・・でも、何でアテンさんがその娘さんを?」
「ハルさんのお見舞いのために訪れたメギストリスの都で出会ったんです。少し仲が良くなったし、さらわれる現場にいたので、助けないといけないかなと思って。」
「素晴らしいですよアテンさん。自ら他人のために動くことができるあなたこそ英雄ですよ。」
だとしたら、俺の数百倍は他人のために動いているウルロイさんの方が英雄ですよね?にしても、何でこの人そこまでして英雄と呼ばれることを嫌うんだろうか?
「ところで、ハルちゃんのお見舞いって・・・彼女、怪我でもしたんですか?」
「ええ、あのカミハルムイでの事件で深い傷を負って、治療のためにキラキラ大風車塔に運ばれたんです。」
すると、ウルロイさんは驚いたような表情を見せ、
「カミハルムイで、なにかあったんですか?」
「え、ウルロイさん知らな・・・」
そこまでいって気がついた。知らなくて当然だと。あの事件の事を発表することは、市民に恐怖と不安を与え、混乱を招きかねないので、百害あって一利なしと、裏で処理された。つまり、あの事件の事を知っているのはアストルティア広しといえど当事者である俺たちと、国王レベルの権力者、そして事件の犯人であるアストルティア・ヘブンズワールドカンパニーの関係者のみだ。
そんな意図的に隠された事件をここで話してしまったら、わざわざ隠した意味がなくなる。でも、ウルロイさんなら信頼出来る人だし・・・どうすればいい?
「実はですね、・・・・・・・・・数日前、王都で・・・」
俺はあの事件について一部始終をウルロイさんに話した。
「そ、そんなことがあったんですか・・・僕たちが応援に行けば少しでも被害を抑えることができたかもしれない・・・。すいませんでした。」
「なんでウルロイさんが謝るんですか。悪いのは全部バベットとか言う男なんですから。」
「バベットか・・・聞いた事がないですね。」
「え?でもやつは自分のことアストルティア・ヘブンズワールドカンパニーの社長だって言ってましたよ?」
「あの会社はいろいろと謎が多くてね。社長どころか幹部の名前さえ明かされていないんです。」
「・・・ところで、アストルティア・ヘブンズワールドカンパニーって、何の会社なんですか?」
「・・・・・・僕が知っているのは表向きの仕事だけですけど、主に魔法の小瓶などの消耗品なんかの製造から、魔法の研究や有名な仕事でいえば、大陸間鉄道「大地の方舟」の製造からメンテナンスまでやってますよ。」
「大地の方舟を作ってるんですか!?」
「ええ、大陸間鉄道社は主に列車の運行と線路の整備、あとは接客といったお客にかかわる仕事をしています。大地の方舟はアストルティア・ヘブンズワールド社から買って、整備と修理もあの会社に任せているんです。噂では、こうした表向きなしごとのほかに武器の密輸や、麻薬なんかの取り引きもやっているそうですよ。あくまで噂ですけども。」
「そうだったんですか。なんか暴力団みたいなことしてますね・・・あ、作っているで思い出した!」
「何をですか?」
「ガタラを襲っていたあのホワイトハンターの胸に「A,H,W」の文字があったんですよ。あれってやっぱり・・・」
「ええ、ヘブンズワールド社製です。そのことについて調べたんですが、あのホワイトハンターはどうやらドルワーム王国の水晶宮に配備されたものらしいです。」
「ドルワーム水晶宮に!?ということは、あのガタラ襲撃は国王のたくらみだったんですか?」
「僕たちもそう考えているのですが、真相はわかりません。ですが、王国にとっての敵である革命軍の本拠地を宮殿に配備されたロボットの兵隊が襲った・・・これは事実です。」
「そんな・・・いくら革命軍だからって王様がそんなことしてもいいんですか?」
「いいはずはありません。しかし、以前ドルワームの国王であるウラード国王にお会いしたことがあるのですが、とてもそのような事をするような人ではありませんでした。もしかすると、何かの間違いかもしれません。」
「じゃあもしかして、やつら(アストルティア・ヘブンズワールドカンパニー)がそうするように仕向けたとか?」
「その可能性もあります。ですが、詳しいところは僕も全くわかりません。そもそも、ガタラを訪れたのは別の目的でした。そしたらたまたまホワイトハンターが町を襲っていて、ヴァススカさんがいち早く気が付き、倒してくれたんです。」
「ヴァススカさんといったら、あの目つきの悪いウェディの女性ですか?」
「・・・そうですけど、彼女の前では言わないで上げて下さいね。あれでも気にしているらしくて。」
「あ、すいません。」
「いえ、僕に謝る必要はないんですけども。彼女は、昔いじめにあったらしくて、それ以来目つきも鋭くなって性格も暗くなり、あまり口もきかなくなったんです。ですが、モーモンを追っていた時の彼女の笑顔は誰もが幸せになれるくらい輝いていました。だから、過去にとらわれていては、自分自身に損だ。そんな素敵な笑顔が作れるなら、明るく生きたらどうです?って、言ったんです。」
いいこと言うな。
「それで、どうなったんですか?」
「ぼっこぼこにされました。」
「へ?」
「あとで聞いたら、変態と勘違いされたらしくて・・・。」
「それは災難でしたね・・・。ところで、ヴァススカさんもモーモンを追っていたから白と黒の継承者に入ったんですか?」
「まあ、そんな感じです。彼女の母親から、相談に乗ってやってほしいという依頼を受けてさっきの言葉を言い、ぼっこぼこにされたんです。たしかに、いきなりあのセリフを言ったら殴るまではいかなくても不審に思いますよね。」
いきなり言ったのか・・・
「それはそうと、アストルティア・ヘブンズワールドカンパニーは、裏で何をやっているんですか?」
「・・・どうやら、ヘブンズ・ネットワークについて怪しげな計画が進んでいるようです。もしかすると、カミハルムイでの件も関係しているのかも。」
「またヘブンズネットワークですか?もう説明も聞きたくありませんよ。」
「おや、アテンさん。笑っている割に冗談には聞こえなかったのですが・・・もう一度説明しましょうか?」
と、ニヤニヤしながらウルロイさんは聞いてきた。
もう、やめてくれ~!
「ははは。冗談ですよ。やはり今のアテンさんにはあの説明は適切ではありませんでしたね。他人に説明してもらうよりも、もっと世界を見て回ってから自分で答えを出した方がいいですよ。今回の旅の目的は、ヘブンズワールド社にとらわれた少女の救出つらしいですが、いい機会ですし、すこし余裕をもって世界中を回ってみてください。どうせ情報を集めるには、各地を回らないといけませんから。もちろん、人命が第一ですが、もし何かの目的でさらわれたのだとしたらすぐに危険な目にあったりはしないと思いますよ。補償はできませんが。」
補償はしないんだ・・・
「たぶん、今ヘブンズワールド社の本社に乗り込んだところで相手にもされないでしょう。相手にとって不利な情報を集めてそれを切り札に戦う方が、いくらか勝率が上がりますよ。」
「不利な情報?」
「たとえばですけど、今進んでいる相手の計画に支障、もしくは計画そのものを止めれるほどの情報なら、相手方も無視はできないでしょうね。」
「・・・・・・もしかして、ウルロイさんはアストルティア・ヘブンズワールドカンパニーの本社の場所を知っていたりするんですか?」
「・・・・・・・・・さあ、どうでしょうね。」
「えぇ!?知ってるかどうかぐらい教えてくれたっていいじゃないですか。」
「それも、今ここで僕が答えを言ってしまうことは簡単です。ですが、本当にそれが最善策でしょうか?」
「人命がかかっているので、急ぐ必要がります。」
「もっともな意見です。ですが、それでは僕が助けた方が早いですよね?」
「・・・たしかに・・・・・・・ウルロイさんも手伝ってくださいよ。」
「それはできません。」
「なんでですか?」
「それは、アテンさんが求められているからです。どんな理由だろうと、さらわれた少女を救うことになったわけです。つまりこの話の主人公はアテンさんなわけですよ。ぼくは所詮村人Aくらいでしょうかね?」
村人Aって・・・
「僕、村人Aのセリフは、『この村の外には魔物がいっぱいです。出る時は気をつけて下さいね。』です。せいぜいアドバイスしかできません。そのアドバイスだって勇者アテンの冒険の手助けになるようなものではないかもしれません。いてもいなくてもこの世界は変わらない存在なのです。主人公はアテンさん、あなた自身なんですよ。冒険をやめることだってできます。敵から逃げることもできます。・・・でも、続きを選ぶことだってできるんです。」
「続きを・・・選ぶ・・・・・・」
「さて、では僕もお勤めに戻りましょうかね。『この村の外には魔物がいっぱいです。出る時は気をつけて下さいね。』。」
「・・・・・・結局、何でウルロイさんは手伝ってくれないんですか?」
「あれ?今結構うまくまとめたつもりだったのに・・・。」
「俺が主人公だとしても、補助くらいしてくださいよ。それに誰よりもあなたが主人公ですよ。」
「・・・たしかに、僕は主人公です。脇役の・・・僕の人生の主人公なんです。そういう意味ではだれもが主人公なんです。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・。すいませんでした。」
無言に堪えれず、ついにウルロイさんが謝った。
「いえ、全然攻めてるつもりじゃなかったんですけど。ちょっと意味がわからなくて・・・。」
「あのですね、とにかく僕は手伝えないんです。すいません・・・。」
「いえ俺の方こそ、無理言っちゃってすいません。ウルロイさんだって忙しいですもんね。」
「ええ、これからちょっと用事が・・・」
そのとき、俺のエアに通知が入った。
「もしもし?」
『旦那さん!?いまどこ?』
「あ、博士。いまは・・・」
『今大変なの!革命軍が・・・ドゥラ委員長が動き出したの!』
「革命軍が!?それ本当ですか?」
『ほんとも何も、さっきまでププノスとウェタートが必死になって止めていたのよ。でも止まらなかった。』
「ちょ、詳しく聞きたいんで、今すぐそっちに向かいます!」
『すぐに来てね!』
通話をやめ、エアをしまう。
「ウルロイさん、革命軍が動き出したそうです。今博士から連絡があって・・・。」
「もしかしたら、革命軍もホワイトハンターが国王の差し金だと思って動き出したのかもしれません。」
「それって、やばくないですか?」
「ええ、たぶん国王に対する不満と怒りが爆発しているものと思われます。死者は出ていなくても、明らかな攻撃ですし、負傷者だって出ています。このままだと、衝突は避けられないですね。」
「急いで止めないと!」
「もし、戦争になったら大変です。ガタラへ急ぎましょう。」
急ぐとなると、必然的にルーラストーンを使っての移動となるわけだが、いまはそんなこと言っている場合ではないので耐えるしかない。
「ルーラストーン!」
ウルロイさんが掲げたルーラストーンがひかり、その光で体が包まれると・・・・・・それ以降は表現している余裕などない。うっぷ。


死にかけながら、何とかガタラについた。入口には博士たちがいた。
「旦那さん、どこ行ってたの?こんな非常事態に。」
「すいません、ちょっとウルロイさんの家にお邪魔してました。」
「ウルロイ?誰それ。」
「え?博士知らないんですか?」
ププノスさんが驚く。
「かの有名な白と黒の継承者のリーダをやっている・・・ほら、あの人ですよ。アテンの横にいる。」
「・・・まず白と黒の継承者を知らない。何それ。」
「すいません、無名なチームで。僕、ウルロイって言います。以後お見知りおきを。」
すると博士が、
「なんで覚えとかなきゃいけないのよ。」
「すいません。」
「博士、いくらなんでもひどいですよ。」
「いいんです、アテンさん。こんな美人で有名なハネツキ博士様に僕みたいなのが覚えていただける訳ないですから。」
「え?美人?あらあなた、見る目があるじゃない。いいわ、覚えておく。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
なんなんだ、この人たち・・・。
「ところで博士・・・」
「美人が抜けてるわ!やり直し。」
く、調子に乗りやがって!
「び、美人なハネツキ博士様、革命軍は今どの辺に。」
「なんだか顔が引きつってるけど・・・まあいいわ。」
顔が引きつるのは、素直に美人と言えない原因があるからですよ?たとえばその性格とか。
「軍本隊は、少し前にここを出たからまだガタラ原野かカルデア山道あたりじゃないかしら。」
「そんなに進んでいないんですね。よかった。じゃあ、今すぐ革命軍を止めに行きましょう。」
「何言ってるんだアテン。なにも今すぐ止める必要はないだろう?」
「へ?何でですか?博士がさっき革命軍が動き出したって言ってたから急いできたんですよ。」
「動き出したが、なにも今すぐ戦争を始めようなんて馬鹿はどこにもいねーよ。今、軍本隊はゴブル砂漠東に着き次第オアシスで待機することになっている。その間、ドゥラのやつが国王に最後の話し合いに行ったんだ。それで決裂したら宣戦布告してすぐに軍が動くことになっている。今俺たちが止めたところで軍は止まらないし行ったって無駄足だ。」
「・・・博士、非常事態じゃなかったんですか?」
「非常事態でしょ?今まさに戦争が起こりそうなんだから。」
「でも、あの言い方だったら今すぐ始まるのかと思って焦るじゃないですか!だから飛んできたのに。」
「それでいいのよ。急いできてほしかったから。」
「軍を止める必要がないなら、何で急ぐ必要があるんですか?」
「それは、戦争を未然に防ぐためですよ。」
ウェタートさんが答える。
「未然に防ぐ?そんなことできるんですか?ウェタートさん。」
「ええ、僕たちはこの街の人達に話を聞いて回っていたんですが、ある話を耳にしまして。」
ある話?
「ドゥラ院長が、革命を始める前にアグラニの町へ立ち寄ったらしいんですよ。もともと、現地調査でガタラへ来ていたらしいんですけど、アグラニから帰ってきてから目つきが変わったらしいです。」
「てことは、アグラニで何かがあったってことですか?」
「その可能性が高いです。だから僕たちもアグラニへ行ってみましょう。」
「だから呼ばれたんですか?」
「そうよ、分かったらさっさと旅支度してきて。荷物を宿屋に預けっぱなしになってたわよ。」
「そうだった!」
博士に言われてやっと思い出した。なんせ、色々あったからな・・・
「ところで、白と黒の継承者の皆さんは?ウルロイさんここにいますけど・・・。」
「ああ、あの人たちにはオアシスの隊商宿に行ってもらったわ。もし、私たちがアグラニの町へ行っている間に戦争が始まってしまったらいけないから一応待機しておいてほしいとお願いしたの。」
「そうですか。で、リーダーの僕は何をすればいいんですか?」
「えっとウルロイさんは・・・私たちの調査に同行して下さらない?」
「はい!喜んでお供します!」
なんだかこの人のキャラがだんだんわからなくなってきたんだが・・・


宿屋で荷物を受け取り、町の入り口に行くと博士たちが地図を広げ何やら話し合いをしていた。
「何やっているんですか?」
「あ、旦那さん。やっと来たの?今、アグラニの町の場所を地図で確認していたところよ。どのルートを通るのがいいかしらね。」
「あ、それならモガリム街道、ラニアッカ断層帯を通って行くルートの方が魔物も比較的弱めですし、安全です。」
「へ~ウルロイさん詳しいのね。」
「いえいえ、ちょっと測量して軽く地図を作ったくらいですよ。」
本当に軽く話しているが、かなり大変な作業だと思う・・・
「じゃあ、モガリム街道からのルートに決まり。さあ、行きましょう。」
・・・出発間際にウルロイさんに小声で聞いてみた。
「あの、ウルロイさん・・・」
「はい、何でしょうか?」
「・・・もしかして、博士に恋していませんか?」
遠まわしに聞いている余裕がなかったので単刀直入に聞く。
「ええ、ハネツキ博士の論文や研究にぞっこんですよ。」
「いえ、そうじゃなくて、異性としてですよ。」
「・・・・・・まあ、ハネツキ博士は美人ですし、興味がないと言えば嘘になりますが・・・。」
やっぱり!・・・でも、恋愛対象はモーモンじゃなかったのか?
「・・・・・・・・・・・・・・・・ここだけの話、あの性格ではちょっと。」
「ウルロイさん、そこは同意です。」
よかった、ウルロイさんはウルロイさんだった・・・。先ほどまでの媚を売る態度は恋をしているからかと思った・・・
「博士と仲良くなれたら、論文を見せていただいたり、あわよくば研究を一緒に・・・なんてことがるかもしれないじゃないですか。そういう意味ではぜひともお近づきになりたいと思っています。」
そう言うことだったのか・・・
「旦那さん、ウルロイさん、何話しているの?もう行くわよ~。」
「あ、はい!今すぐ行きます。」
「分りました。」


町の外に出ると、そこには広い野原が広がっていた。
ここはガタラ原野。古代文明の一つウルベア帝国が栄えたこの地にはいまだに遺跡が残っている。この知識は昔本で読んだものだ。こうして、昔本で読んで想像した未知の土地に今自分の足で立っているのは感動的だ。
「アテンさんドルボードはもっていますよね?かなりの距離がありますから歩きではきついかと。」
そうウルロイさんに言われて、ドルボードの行方を思い出す。今、夢幻の森だ・・・。森爺を追っていたら急に眠気に堪えれなくなってその場で倒れた。で、ププノスさんに助けてもらったけど、ドルボードはそのままだ・・・
「ドルボード・・・今ないです。」
「ないんですか?・・・どうしましょうか。ないときつ・・・」
そのとき、
「あれ、俺アテンにドルボードを渡してなかったっけ?」
へ?
ポケットに手を突っ込み、探りながらププノスさんが言った。
「あ、あった。ごめん、忘れてたわ。」
ボウっと煙とともにドルボードを取り出した。
「え!?何でププノスさんが?」
「いや~、森で倒れているアテンのそばにドルボードが放置してあったからアテンのかとおもってとっておいたんだ。後で渡そうと思っていたらすっかり忘れてた・・・。」
「ありがとう、ププノスさん。助かりましたよ。」
「よかった。これで全員移動手段があるわね。」
という博士は、何も持っていない。それはそうだ、なぜなら俺の乗っているドルボードは博士のだから。
「博士はどうするんですか?返した方がいいですか?」
ときくと、博士は首を横に振った。
「その必要はないわ。私ドルボードは必要ないから。って、そう言って旦那さんにドルボード貸したわよね?」
「必要ないって・・・今はいるじゃないですか。」
「なんで?」
「だって、博士が歩きで移動に・・・」
「誰が歩くって言ったの?」
じゃあ、いったい・・・
すると博士は指を口にくわえ、ピーッと指笛を鳴らした。
「・・・・・・。なにも起きませんけど。」
「もうすぐ来るわ。」
来る?いったい何が・・・
すると、遠くの方から何かがこちらへすごい速さで向かってきているのが見えた。
博士・・・なに呼んだんですか!?
                  to be continued・・・・・・